• 私たち現代人は、スーパーやコンビニ、ファーストフード店など近くにあると、つい出来合いのものや外食に頼りがち。それが知らず知らずのうちに、生活習慣病(平成8年に従来の”成人病”より改名)の主な原因となる食塩や脂質、エネルギー等の過剰摂取を引き起こしているのです。「死の四重奏」と言う言葉をご存じでしょうか?

    肥満、高血圧、糖尿病、高脂血症、この4つの症状が重なると、心筋梗塞などの危険が非常に高くなるため、「死の四重奏」と呼ばれているのです。

    ここでは、種々の疾患の発症と深い関わりのある「高血圧症」に的をしぼってのべていきたいと思います。
    高血圧は、相当進んで来ないと自覚症状、他覚症状ともmに表れないので、米国では、サイレント・キラー(sillent killer = 静かなる殺し屋)と呼ばれ、死に至る病気を引き起こす、実はとても恐ろしい病気なのです。

  • 「最近血圧が高くてどうも調子が悪い」「私は低血圧だから朝が弱いのよね」などなど、「血圧」に関する話題が日常会話によく出てきますが、「血圧とは何か」を改めて考えてみると、意外と知られてはいないようです。
    血液は心臓のポンプ作用により、左心室から動脈内に送り出され、
    そこで一定の圧力(流圧)を示します。これを血圧といいます。通常、血圧というと動脈血圧を意味し、その単位はmmHg(水銀柱)で表します。

    いま、動脈の一か所を傷つけ、小さな穴を明けたとすると、
    傷口から血液が噴水のように吹き出ます。これは、血圧が血管壁に対して常に働いているためなのです。心臓が収縮して動脈へ血付きを送り出す時には高くふきあがり、心臓が拡張して全身の静脈から心臓に血液が流れ込む時には、それより低くなります。
    以上の観察から、血圧は心周期中耐えず変動し、収縮期により高く、拡張期により低い事がわかります。前者を、最高(大)血圧または収縮期血圧といい、後者を最低(小)血圧または拡張期血圧といいます。
    血圧は、種々の要因によって変動しやすいものです。
    血管の金賞を支配している自律神経(交換神経)の働きで
    血管の内腔が狭くなったり、老化などにより血管の弾力性が低下して血管抵抗が増すと血管(動脈壁)にかかる圧力がますため、血圧は高くなります。

    また心臓が送り出す血液量(心拍出量)が多いほど、血圧は高くなります。
    その他、血液の粘度、測定時の体位、時間帯、季節なども関与します。
    医師や看護士の着ている白衣をみて緊張し、血圧が上昇してしまうこともあります。これは「白衣性高血圧」といわれます。そこで、血圧の変動が少ない自宅での測定が望まれます。

  • 高血圧の種類

    高血圧はその原因により、「本態性」と「二次性」の2つに大きく分類されます。
    一般に高血圧というと、それは「本態性高血圧(一次制高血圧、原発制高血圧)」を指します。この本態性高血圧は、高血圧疾患の90%以上を占めていますが、その正確な原因についてはまだ明らかになっておりません。しかしながら、遺伝や肥満、アルコールの過剰摂取、喫煙、ストレスなどにより起こるのではないかと考えられています。
    それに対して、腎炎、腎臓の動脈の異常、内分泌器官の異常などがあり、それが高血圧の原因となるものを、「二次性高血圧(続発性高血圧)」と呼びます。身内など血縁関係者についてはこの二次性高血圧ではないかという目でみる必要があります。

    5.国民の血圧の現状
    図1血圧の状況(性・年齢階級別)

    <男> 高血圧 境界血圧 
    80% 70 60 50 40 30 20 10

    19.6 25.4 0.5 7.1 2.4 11.8 9.6 16.3 16.0 23.8 24.7 31.1 29.6 37.0 35.0 31.2
    総数    15~19  20~29  30~39   40~49   50~59   60~69   70歳以上

    <女>
    14.9 21.7 0 0.5 0.9 2.4 2.4 5.1 9.7 16.3 19.0 28.8 25.0 35.4 31.6 39.9
    総数    15~19 20~29  30~39  40~49  50~59   60~69   70歳以上

    資料(平成8年 国民栄養調査成績)

  • 血圧の測定結果から性・年齢階級別に高血圧及び境界域高血圧者の割合をP4-図1に示しめしました。これを見てみると、男女とも加齢とともに血圧は増加し、高血圧者は男性で19.6%,女性で14.9%となっていることがわかります。これはまた、男性で5人に1人、女性で7人に1人が高血圧者であるということになります。
    ・[年齢による血圧の変化]
    ところで、年齢があがるとなぜ血圧が上がってしまうのでしょうか。
    平均的にみて、生後まもない赤ちゃんの最高血圧は90mmHg以下ですが小学生、成人へと成長するに連れ血圧は徐々に上昇していきます。そして、60歳を過ぎると最高血圧は140~150mmHgほどにまで達します。つまり、赤ちゃんの頃に比べて、50mmHg以上上昇しているわけです。
    これは、血管の変化が関係します。年を重ねるごとに、柔らかく張りのあった皮膚がたるみ、しわがきざまれていくのと同様に血管も老いていきます。この老築化が血圧を上げる原因なのです。若い頃の血管は、弾力性に富んでいるので、心臓から血液が打ち出されると大動脈が大きく膨らみ、圧力を低下させる事で血液を全身のすみずみまで運びます。ところが、年齢とともに血管は硬くなってしまうのです。硬化した動脈は、血流をやわらげることができないので、心臓から打ち出された血流の強さがそのまま末端まで伝わりません。従って最高血圧が上がってしまうというわけなのです。しかし、全ての人に血圧の上昇がみられるのは、子どもから成長期の間までであり、成人以降に関していえば、全ての人に血圧上昇がみられるわけではありません。ただし、加齢とともに動脈が硬くなり、高血圧になりやすくなることは違いありません。

    <加齢と血圧の関係>
    赤ちゃん 最高血圧 90mmHg以下
    小学生  最高血圧 90~110mmHg
    成人  最高血圧 110~130mmHg
    60過ぎ 最高血圧140~150mmHg

  • 高血圧症は、自覚症状に乏しい病気です。ここが最も恐い点で、なんら症状もないまま確実に進行し、やがてさまざまな臓器に障害が起こりはじめます。すなわち高血圧による合併症がおこってきます。
    特に脳・心臓・腎臓には要注意。これら重要な臓器が最も冒されやすく、致命的な合併症となりやすいのです。
    高血圧の合併症としては脳出血・脳梗塞などの脳血管障害・狭心症・心筋梗塞・心不全・腎硬化症から腎不全などがあげられます。このような合併症の発生を抑制する事が高血圧の治療で長生きをさせることになります。
     合併症があるかどうかは診察・心電図・眼底の動脈変化・心臓のエコーによる心臓壁の厚さ・血液や尿の検査による腎機能などによる判断が必要です。

    <<高血圧の原因と合併症の図>>
    喫煙 遺伝 運動不足 アルコールの飲み過ぎ ストレス 肥満 食塩過剰摂取

    高血圧

    心肥大 脳出血 動脈硬化 大動脈瘤

    心不全 麻痺・痴呆 脳梗塞 心筋梗塞 腎硬化症 腎不全

  • 高血圧の治療

    高血圧の治療には、食事等の生活習慣を改善する非薬物療法(一般療法)と、
    血圧を下げる薬を用いる薬物療法とがあります。
    非薬物療法(一般療法)は薬を用いないので、薬による副作用を考えなくて良いという利点を持ち、高血圧治療の目的達成に欠かせない基礎的な治療であり、今後ますます重要性が認識されていくと思われます。
    一方、薬物療法は薬の効果から予測される将来の利益が、受けるかもしれない副作用による損害を上回ると判断される場合に選択されます。
    いずれも血圧を下げる効果は甲乙つけがたい治療法ですが、高血圧ちりょうでは、まず非薬物療法(一般療法)を行い、降圧効果が不十分な場合に薬物療法を加える事が原則となっております。

    非薬物療法(一般療法)

    食事、運動など生活習慣の改善を主体とする治療法です。この治療法の中では、減塩療法、肥満がある人での減量療法、運動療法などが明らかに降圧効果が認められることが分かっています。
     現在、作用機序があきらかにされたわけではありませんが、動物学実験や疫学調査などにより、食塩の摂取が多くなると血圧が上昇し、逆に減塩すれば血圧は低下することがわかっています。従って、高血圧の食事療法では減塩によるナトリウム制限が最も重要とされます。
    しかし、それだけでなく他にも多くの要因があるので、現在の自分の食生活を分析し何が問題なのかを明らかにし、
    その改善をする事が食事療法の中心となります。

    薬物療法

    血圧を下げる薬を服用する治療法です。現在、多くの降圧薬がありますが、副作用がすくない安定した降圧効果が得られる降圧薬が医師により第一選択薬として最初に用いられます。第一選択薬により十分な降圧効果が得られなければ、異なった作用機序の降圧薬を今までの薬に加えるか、または今までの薬を中止して
    他の薬に変更する事が行われます。
    現在、薬物療法によりコントロールできない高血圧はきわめて稀となっています。